Vol. 33: 【記事掲載: Wedge ONLINE】【財政破綻国家スリランカを歩く(第6回)】かつて輸出量世界一“セイロン・コーヒー”のルネッサンス
Vol. 32:【コラム】IMF- 経済崩壊の劇薬 ① -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 31:【コラム】スリランカが生む世界のアパレル -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 30:【コラム】政治経済崩壊と憲法第9条 -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 29:【コラム】ビデオ会議時代の心得 -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 28:【コラム】慶應義塾大学機関紙『三田評論』への寄稿 "熱帯の島でのとんだおせっかい" -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 27:【コラム】海峡を渡っていた鉄道 -スリランカ コンサルタントの南アジア紀行-
Vol. 26:【コラム】】「下から読み」のススメ? -スリランカ コンサルタントの会計税務よもやまメモ-
【楽園のコラム Vol.26】
「下から読み」のススメ? -スリランカ コンサルタントの会計税務よもやまメモ-
吉盛 真一郎
Managing Director Uploaded on 30th October 2022
以前、インドの国内便の機内で日本の文庫本を読んでいるとき、隣席の熟年インド人男性に、「お前のその文字は、下から読み上げるのか、それとも上から読み下げるのか。」とちょっと居丈高に問われ、「あまりに不躾だ。からかう気なのか。」と憤慨したことがありましたが、後で調べると、書字方向が縦の国は世界的にも珍しいようで、熟年インド人男性の素朴な疑問だったことがわかりました。
書字方向とは全く別の話ですが、『決算書は「下」から読む、が正解!』 (前川修満 著 SB新書) という書籍があります。ある意味においては、作り手目線でつくられているともいえる財務諸表は、下から読む(最終ページから読むという意味ではなく、それぞれの表の総計や、各項目の小計等から、推論を組み立てていき、全体の状況を判断する)ことを薦める内容なのですが、もっともなことです。
会計監査の結果として出来上がる監査報告書も、とくに起承転結に満ちた構成になっているわけではないので、クライマックスを期待して1ページ目から最終ページ目まで読み進めていく必要は全くなく、読む人にとって重要な情報をうまく釣り上げていくことこそが肝要だと言えます。
さらに全く別の話になりますが、落ち着きのない性格かつ、読書のスピードが遅い筆者(序章担当)は、ある程度長いコラム等に遭遇して「面倒だなー」と感じた時は、まず、一番下の段落から読んでしまい、わけもわからぬまま、一応「読んだ気」になっておいてから、そこから逆さ読みしていったり、今度は上から読み下げていったり、上往下往しているうちに気づいたら全部を読み終えている、という不埒な方法をとっています。そして仕上げにざっと上から総括読みしてシメます。心理的なごまかしにすぎないのですが、有効な人には有効かもしれません。
本章が佳境に迫る、結構下の方の内容が一番重要であるのは、まさにこのコラムがそうですので、ぜひ毎回、上はトバしてでも最後の方から読んでいただきたいと思います。
以上
Vol. 25:【コラム】】「やらねばやられる、だからやる」 -スリランカ コンサルタントの会計税務よもやまメモ-
【楽園のコラム Vol.25】
「やらねばやられる、だからやる」
-スリランカ コンサルタントの会計税務よもやまメモ-
吉盛 真一郎
Managing Director Uploaded on 28th October 2022
「やるしかない」
平和ボケの学生時代、格闘技系運動部を引退した時にしみじみと感じたことは、「 “今日こそは大ケガをするかもしれない” という不安にかられて道場へ向かい続ける日々から、これで解放されるんだな。」 ということでした。人一倍臆病だった筆者は、日々の練習ですらそんな調子でして、それでもなんとか4年間部活動を続けられたのは、その節目節目で「試合」という、勝利に飢えた対戦者の待つ合法的な暴力の檻に、〇月〇日〇時頃、1回につきたった2分間だけだが放り込まれることが予定されていたからに他なりません。「腕っぷしを証明するために戦う」なんていうのは、筆者に限っていえば全くあてはまらず、「弱いと思われたくないから、むりやり恐怖を設定してでも、闘う場になんとか立ってみせる」といった歪みきったものでした。所詮は学生アマチュア達のままごとに過ぎなかったのですが、たった2分間であっても、死んだ気になって向かってくる相手にやられるがままになっていたとしたら、人間はあっという間に死んでしまいますから、それは人生の有事の状態だったのです。
「やらねばやられる」
有事の状態、といってもいわば平時の有事、漫画家が全国のファンの待つ週刊連載の原稿をオトす(締め切りに間に合わずに掲載されない)かどうかの瀬戸際に立たされるような場合もありますし、あるいは有事中の有事、人に手を上げたこともない市井の人達、例えば自分の妻や恋人たちの目の前に、戦火の中の敵兵がついに立ちふさがる絶望の瞬間もあります。その土壇場で漫画家は脅威の描き上げを見せてついに校了してしまうかもしれない一方、戦火の妻や恋人たちは、最期の徒手空拳、コーラの火炎瓶があれば敵兵めがけて投げつけてしまう不幸があるだろうことを思うと、左胸のあたりがどうしようもなく疼くのです。
「だからやるしかない」
「なんだよーもっとはやくアナウンスしろよー、関係者をかなり焦らせてしまったじゃないかー。」、インドの各種コンプライアンス(税務申告・法定会議の開催等)の期限日は、結構な頻度で延期発表されることが多いのですが、その当局発表が期限当日になってなされることもままあります。そこでいちいち寿命が縮む思い+(プラス) 解放感を味わう=(イコール) インドの手のひらで見事に踊らされている、という図式です。追い詰められてはじめて人は動き出す、、締め切りがふと消えてしまうと、それまでの追われていた日々がいかに美しく輝いていたかに気づくのですが、そんなドラマはいらないから、締め切り対策は平時から予定しておきましょう、というお話です。以上